投票率を上げる妙案

高校生に選挙啓蒙教育しても効果は限定的

「子育て支援充実で出生率アップ」とかけて「高校生に選挙啓蒙教育して投票率アップ」ととく。そのこころは?

どちらも支援・教育する対象が的外れ。野菜に水をやるのに葉っぱに向けてやって、根元にやっていないようなものだ。

出生率は、子育て環境をいくら改善しても、子供が生まれない限りは向上しない。より多くの子供が生まれるには、その前により多くの人が結婚しないといけないわけだ。だから、子育て支援充実より、結婚したくなくような政策を推進することのほうが出生率向上にはより効果的だ。

同様に、投票率は、もうすぐ新成人になる高校生に行ってもらうことよりも、人口の大部分を占める、納税している世代がどうしても選挙に行きたくなるような仕掛けを考えて実行するほうがより効果的だ。

2021年都議会議員選挙の確定投票率は、42.39%。政治への無関心も危機的水準だ。10人に6人は政治に興味がない。多くの人が政治は自分に関係ないと思っている。

確定申告義務付けで投票率が上がる

私は2017年分から毎年、個人所得税の確定申告を行っている。社会人になってから約20年間、確定申告などやったことなどなかった。きっかけは、休職して、医療費が高かったので、医療費控除が受けられないかと考えたのが最初だ。そして、この年から、マイナンバーカードやICカードリーダーがなくても電子申告ができ、国税庁のホームページから必要事項を入力するだけで申告書を作成できるようになったため、やってみよう、と思ったのだ。

医療費控除のためだけに確定申告をして、所得税額で2千円程度の還付を受けたことを覚えている。正直、何だこれだけの手間をかけてたったこれだけか、と思いどういう仕掛けでこういう計算になるんだ、と出来上がった所得税申告書をじっくり見直してみると、いろんな疑問が出てくる。

申告書の数字を追っていくと、だんだんなるほどそういう仕組みなんだ、と分かってくる。体裁が堅苦しいので取っつきにくいが、何度も数値を目で、行ったり来たりするうちに、意外と簡単に仕組みが理解できるものだ。

次の年は、ふるさと納税、外国税額控除、次の年は、雑所得申告、その次は配当控除、とできる範囲を増やしていっている。

確定申告をすると、所得税額ってこうやって課税されていたんだ、この時の所得が地方税の計算にも使われるんだな、これだけ会社が自分に払っているのに手取りがこれだけか、社会保険税もあってさらに目減りするんだ、結構すごい額取られているんだ、とリアルに感じるようになる。そして、それって、誰が決めているんだ?あ、政治が決めているんだ、という当たり前のことに気づく。自分の財布のことになると、無関心でいられなくなるのが人情だ。だから、政治に、必然的に無関心でいられなくなる。

私は、大部分の給与所得者が確定申告せずに納税を完結できる現行制度を改め、米国のように原則全員確定申告義務化を導入すべきと考える。確定申告すると必ず税金への関心が高まる。それが政治への関心を高め、投票率のアップにつながるということを、自身の経験から確信をもっているからである。

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