降格された、というスティグマ(烙印)を抱えて生きる

スティグマ(烙印)は潜在意識にある

数年前降格されて、それからそのままだ。今年になるまで、降格されたということを誰かに話したり、相談したことはなかった。最初はショックだったが、降格されてもまた上がればいいじゃん程度で、そこまで自分の中では深刻な問題ではなかった。悔しいよりも、恥ずかしかった。降格されたことがあまりにも恥ずかしかったので、誰にも話せなかったのだ。降格という事実を自分の意識のなかで敢えて矮小化し、努めて大したことないと言い聞かせた。

でも潜在意識には、ハッキリと降格された、というスティグマ(烙印)あった。ただ、その傷の深さが相当なものであることには、すぐには気づかなかった。このスティグマは普段潜在意識に潜んで顕在意識に上がってこないからだ。でも、人間の意識を支配しているのは圧倒的に潜在意識のほうだ。だからいろんな出来事が起こるたびに普段潜んでいるスティグマが頭をもたげて自分を苦しめる。

降格のことはあまり考えないようにしていたが、初めてそれが顕在意識に鎌首をもたげる出来事が起きたのは、東京の本社部門へ異動になってすぐのことだった。

組合ビラ事件

人事制度は今と変わってしまっているが、当時は、管理職でないスタッフ系社員は、新入社員から若手社員が中心のアソシエイトと中堅・ベテランのプロフェッショナルにランクが別れていた。まさに私に対しては、この境界を跨いで、プロフェッショナルからアソシエイトへとドラスチックな降格がなされたのだった。

当時その職場には、時々組合のビラが組合員の人数分だけきっちり計って配られていた。今思えば、バサッと置いてご自由にどうぞ的にアバウトにやってくれていたらよかったのにと思うのだが。当時の職場は、基本は全員「非組合員」、でもアソシエイト社員は組合員という取り決めだった。組合ビラが来て、気づいた人が組合員のメンバーに配る。

私は、上述のとおりアソシエイトに降格されている。年齢的にも職歴的にも、当然プロフェッショナル社員だろうと思われていたので、最初は組合ビラが配られなかった。だから当然余る。よせばいいのに、ビラが1枚余るんですけど、とか大声で周りに聞いている。案の定、他の誰かが「○○(私の名前)さんの分じゃない」その瞬間、その場に微妙な空気が流れる。あっ、この人、アソシエイトなんだ。誰も口に出さないが、皆そう思ったはずだ。

私は、平静を装い、無言で会釈して受け取ったが、内心、全身から火が出るような恥ずかしさで、しばらく頭の中がそのことで一杯だった。少し経ってから、今度は今までに感じたこともないほどの悔しさが湧き上がってきた。降格された直後は悔しさよりも恥ずかしさが圧倒的に勝っていたが、この時は違った。降格されていなければ、こんな屈辱を受けることはなかった。ずっとアソシエイトだったのではない。アソシエイトに降格されたのだ。でも、何も言えない。そう思うと、降格されたことによる恥ずかしさよりも、圧倒的に悔しい思いがにじみ出てきた。

スティグマを自分の潜在意識から追い出したい。それが今の目標だ。

過去の降格理由の開示を会社に請求した

 

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