お金にまつわる5つの力とは
日本一わかりやすいお金の教養チャンネル「リベ大」をYouTubeで運営している両学長が書かれた本書では、お金にまつわる力をバランスよく鍛えていくことが大切だと書かれている。お金にまつわる5つの力とは、貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う力、だという。(出典:両学長@リベ大著「本当の自由を手に入れるお金の大学」)
お金について、多くの人は本能的に、お金にまつわる5つの力のうち、貯める・稼ぐ力、が大切であることは認識している。ネット記事を見ていると、毎週のように「〇〇代の平均貯金額は?」とか「いくら貯金があれば老後の生活を不安なく過ごせるか」という記事が出てくる。また、「〇〇業界の平均給与は?」とか「平均給与が高い業界ベスト3」といった記事も多い。これは、多くの人が、貯める・稼ぐ力、が人生を大きく左右することに気づいている証左だといえる。だからこそ、内容はどうあれ、そういった情報に多くの需要があるのだ。
加えて、20年以上も超低金利が続き、今の後期高齢者世代とは違って、給与を金融機関に預けておきさえすれば10年で倍になった時代は過去のものとなり、いくら現金預金をもっていても、考えて行動しなければ、ほとんど増えない時代を経験した現役世代の中には、稼ぐ力と同じくらい増やす力が重要だ、と気づいている人も増えている。その証拠に、iDeCoやりましょう、株式投資やりましょう、とか、急進的な人になると、就職した時から数年後にFIRE(経済的自由を達成して、自分の意志で早期にリタイアする)を目指して、実際に成し遂げた人の実体験本もでているほどだ。
でも、唸るほどお金がクローゼットに眠っていても、犯罪に巻き込まれて無一文になるかもしれない。悪質な金融商品の勧誘に騙されて、これまた無一文になるかもしれない。常に最新の経済事情、金融商品や市場の動向に目を光らせて知識をキャッチアップすることで、大切な資産を守ることが増やすことと同じくらい重要だと気付いている人はさらに少なくなる。自分は騙されることはない、と思っている人ほど危ない。私など、本書を読むまで、医療保険はマストだと思っていた。読んで初めて騙されていた、と気付いた。特殊な状況の人以外は、現在の日本においては医療保険は不要なのに、多くの人は当たり前のように加入している。守る力がないと、簡単に金融機関に自分の資産をかすめ取られてしまう。
人との違いは、自分のお金と時間をどう使うか、で決まる
では、貯める・稼ぐ・増やす・守る力が備われば、人生成功と言えるのか。まだ、もう一段階乗り越えるべきハードルがある。稼いで、ためて、増やして、守り抜いて作った自分の自由になるお金を、どう使うか。それが個々人の生きた証になる。そう、使う力が問われることになる。使う力を身につけ、人生において有意義なお金の使い方をする。お金だけではすぐに手に入れることができないものを手に入れる努力をする。例えば、健康、信用、教養、経験、社会貢献、奉仕、家族、人的ネットワークなど。
同じ1億円の自由になる資産を作り上げた人なのに、一人は、多くの家族、友人に囲まれ、皆に看取られながら逝く、死後もその人の思い出が、残された人々の間で話題にのぼる。一方で、もう一人は、その死を惜しむ人もなく、誰にも看取られず寂しくこの世から消えていく、その後だれもその人のことを覚えていない。両者の違いは一体何だろうか。結局最後は、お金(や時間を)使う力、いいかえれば、「自分の時間とお金をどう使うか」が人生を決めるのではないだろうか。最近、特にそう思うようになった。
それで、今のうちから、他人にどう思われようとも、自分の信念に基づいて、自分ならではのお金の使い方をするようにしよう、と決意した。実際にすでに意識して行動している。被災地に多額を寄付をするとか、金銭的に誰かを援助するとか、大上段に構えてやるのではなく、やっていることは、もっとひっそりしたこと。
例えば、自分が好きなセンスのいい無印良品のお菓子を買って職場でおすそ分けする。毎月公益団体に定額の寄付を継続する。オフィシャルに送別会がなくても、個人的に誘って食事をご馳走させていただいて、一緒に別れを惜しむ時間を過ごす。それほど関係性が深くなくても同じ事務所の退職者への餞別の話があればそれにのせてもらう。
お金の使い方には、たとえ少額でも、自分のセンスや個性が出るものだ。その積み重ねがお金(や時間を)使う力を培う。これこそ、一朝一夕に身につかないものではないだろうか。仮に、1億円の自由になる資産を作り上げたとして、その時80歳だったとしよう。でもその時になって初めて、さあこれからどう使うか、と考えていてはもう手遅れなのである。
お金にまつわる5つの力と真剣に向き合うことは、自分の人生をどう生きるか、という課題に向き合うことに通じる。本書のタイトルにある「本当の自由」とは、後悔しない人生が送れるという意味だ、と私は理解した。
- 普通の人 貯める・稼ぐ力、が大切だと気付いている
- 少し目端が効く人 貯める・稼ぐ・増やす力、が大切だと気付いている
- 一生お金で苦労しない人 貯める・稼ぐ・増やす・守る力、が大切だと気付いている
- 後悔しない人生が送れる人 貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う力が大切だと気付いている
1540円
累計10冊 16005円