毎年6月にウナギを食べる
ウナギといえば、普通思い浮かべるのは土用の丑のウナギだろう。でも私は職場復帰してからは、毎年6月にウナギを食べることにしている。毎年急に暑くなり始める頃だ。土用のウナギならぬ暑気払いのウナギと思って続けている。
私の場合、一年で最も体調が悪い時期は3月から5月だ。自分の中では「魔の3ヶ月」と呼んでいる。単身赴任先で調子が悪くなったのが5月、復職してまた調子が悪くなって再休職したのが3月。理由ははっきりしないが、いわゆる春先は要注意なのだ。
6月にウナギを食べるのは、自分で自分をいたわるためだ。職場復帰して3回目の「魔の3ヶ月」を乗り切ったのだ。ウナギをいただきながら、一年よくやった、そう自分をいたわってやる。
昨年は豊川稲荷に参拝して、一年無事で職場復帰を続けられたことに感謝を申し上げた。そしてその帰りにウナギを食べた。それが最初の暑気払いのウナギだった。新型コロナウイルス感染症の影響で鰻丼定食がテイクアウトできる、しかも安くなる、ということだったので、テイクアウトして駅前のロータリーの前のベンチで食べた。一年何とかやってきた、そうすると、こうして少しだけいいことがある。
意外に穴場、豊橋のウナギ
養殖ウナギなら昔から浜名湖のウナギや浜松のウナギが有名だが、今は三河一色産のウナギが高級養殖ウナギとしては一大ブランドだ。その三河の主要都市、豊橋の駅前には結構たくさんの鰻料理専門店があることに気付いた。安いところから高いところまで様々だが、ネット検索で分かる範囲ではお手頃価格のお店が多い印象だ。
今日は、豊橋駅前から徒歩で10分もかからず行ける「うな中本店」さんに行ってきた。ちょうど12時に店に入ったが、先客は2人のみ。えっ、ガラガラやないか。意外に思いながら店の奥へ進む。店内は2人がけ席が2つ、4人がけ用の座敷席が2つで12人で満席になる小さな店だ。
食べるのは鰻丼と決めていたのでメニューをみて迷わないが、ランクが鰻丼、鰻丼上、鰻丼特上の3種類ある。違いはなんですか、と聞いてみる。分からないときは、通ぶって分かったふりをせず何でも聞いてみることだ。
ウナギの量です、とのお答え。何と簡潔明瞭な答えだろう。それを受けて、私も即答で、鰻丼上をお願いします、と答えた。鰻丼特上は2200円、鰻丼上は1650円、鰻丼は何と1100円だ。550円刻みでウナギの量を増やせますよ、という値段設定にも驚く。何と簡潔明瞭な値段設定だろう。
鰻丼特上でも約2千円というこの安さ。だいたい世間一般の鰻丼定食の相場は約3千円だ。今回は3ランクのうちの中間をとった。鰻丼の他にサラダ、おひたし、漬け物、デザートに肝吸いものまでついてくる。それで、相場の約半額で暑気払いのウナギを楽しむことができた。
フワフワのウナギの身に、コクのあるタレ。ご飯がどんどん進む。味は言うまでもない、大満足だ。これでまた一年、前に向かって進める。一日一日、幸せと思えることを積み重ねることが、幸せな人生を作るのだ。来年も必ず暑気払いのウナギを食べるぞ、そう心に誓った。