副業が身近な時代へ
私が現在勤務する企業グループでも今後副業を容認することが公式に発表された。副業は許可制で、毎年更新が必要だ。年に一度人事に状況を報告する義務がある。副業といっても、別の企業に雇われるのはNG、つまり雇用契約型は認められない。可能なのは業務委託契約だ。推奨される例としては、外部で研修の講師をやる、スタートアップに参画する、家業の役員になる、などだ。
単に収入を増やしたいから副業したい、というのは認められない。外部での副業の経験、知見を勤務先に還元できる、というのが副業が認められるための条件になっている。その他、残業時間が一定時間を超えないなど細かい条件もある。
仕事に求めるものは人によって様々
北野唯我著「これからの生き方。」では、人が仕事に求める価値観は人それぞれ違い、重視する価値観も人によって様々。全ての価値観を1か所(つまり1つの勤務先)で満たすことは不可能に近い、と結論づけている。そしてそこにこそ、副業の意義がある、といっている。
例えば、自分は仕事でA、B、C、Dの価値観を重要視しているとする。本業では、AとB、Cの価値観は満たせるが、どうしてもDの価値観は満たすことは難しい、というのが現実の場合、副業でDの価値観が満たせるのであれば、副業をすることが人生全体の生き方としてベストだということだ。
14の労働価値による自己分析
- 能力の活用(自分の能力が発揮できること)◎
- 達成(良い結果が生まれたという実感)〇
- 美的追及(美しいものを創り出せること)△
- 愛他性(人の役に立てること)◎
- 自律性・自立性(自律できること)◎
- 創造性(新しいものや考え方を創り出せること)〇
- 経済的価値(たくさんお金を稼ぎ高水準の生活を送れること)〇
- ライフスタイル(自分の望むペース・生活ができること)◎
- 身体的活動(身体を動かす機会がもてること)×
- 社会的評価(社会に仕事の成果を認めてもらえること)〇
- 危険性、冒険性(わくわくするような体験ができること)×
- 社会的交流性(いろんな人と接点を持ちながら仕事ができること)△
- 多様性(多様な活動ができること)〇
- 環境(仕事環境が心地よいこと)◎
◎=とても大事、〇=大事、△=それほど大事ではない、×=大事ではない
(出典:北野唯我「これからの生き方。」)
私の仕事で重要な価値観は、上記の通りになった。そのうち、4.と8.と14.は本業で満たされていると思うが、1.と5.は満たされていないと感じている。
つまり、自分は仕事で、自分の能力が発揮できること、人の役に立てること、自律できること、自分の望むペース、生活ができること、仕事環境が心地よいこと、の5つの価値観を重要視している。ところが、本業では、人の役に立てること、自分の望むペース・生活ができること、仕事環境が心地よいこと、の3つは満たされているが、自分の能力が発揮できること、自律できること、については満たされていないと感じていることがわかった。自分の能力・経験・意欲と相談して、残りの2つの価値観が満たされるような副業を見つけられれば、これからの人生をより充実した満たされたものにしていけるという考えを導き出すことができた。
これこそが、まさにこれからの生き方を考えるのに必要な、論理的で合理的な考え方なのだろう。昔はキャリア形成に行き詰まりを感じた場合、転職しか選択肢がなかった。もう少し視野を広げて副業まで選択肢を広げると、そこに最適解があるかもしれない。
以上のような理由から、私はいま、副業を検討する意味は大いにあると思っている。