降格された時、どうすべきだったのか

1週間以内に降格理由を尋ね、納得いかなければ異議を申し立てるべきだった

生まれて初めて、労働基準監督署の労働相談総合窓口に電話した。「過去の降格のことが気になって困っている」と毎月の診察の際に主治医に相談したところ、「労働基準監督署に相談したほうがいい」と勧められたからだ。どこにかけたらいいかわからないので、ネットで検索して、住所地を管轄する労基署の電話番号に電話した。間違っていれば、どこにかけたらいいか教えてくれるだろう。その結果、やはり、問い合わせ先は事業所所在地を管轄する労基署だった。でも、相談に応じてくれた人は、管轄外にもかかわらず、「せっかくお電話いただいたので一般論として」と前置きしたうえで、専門家としての見解を示してくださった。

降格人事を受けたら、すぐにすべきことは、できるだけ早く会社に対して理由の開示を求め、納得いかないときはすぐに異議を申し立てることだ。できれば、降格人事を受けた時から1週間以内に異議を申し立てることが望ましい。時間が過ぎるほど不利になる、ということだった。

「5年以上も前のことですが」と相談すると、「さすがにそれは時間が経ちすぎていますね。降格人事を覆すことはもう不可能です。」と断言された。なぜ、不可能かというと、人事というものは、一旦決定されると、それが既成事実になって、その上に積み重なるように、いろいろなことが決定されていくので、何年もたってからあれは取り消しますということはできないから、だそうだ。「それでも、降格の理由を聞くことは今でもできます。どうしたら挽回できるのかをあわせて聞いてもいいと思いますよ。」その人は続けた。「ただ、人事に関する事項は、その多くが会社の機密事項にあたるので、何でも教えてもらえるわけではないですから。そのあたりは頭に入れておいたほうがいいですよ。」

また、降格理由の通知を受ける際、組合の専従者に一緒についていってもらってもいいかと尋ねると、「(団体)交渉のために組合があるのだから、あなたが組合員であるならば、それは是非お願いしたらいい。」というアドバイスをもらった。

時間が経っていても、降格の理由を聞くこと自体は何ら問題ない

私は、2015年に降格人事を受けた。「あなたは、降格になります。」とも何とも言われずに。気づいたら職位等級が下がっているので降格されたことに気が付いた。降格ということが自分の人生に起こるとは思いもしなかった。離婚というものが自分とは無縁だと思っていた時と同じで、まさに晴天の霹靂だった。降格されたなんて恥ずかしいことは誰にも言えなかった。とてもショックだったが、何事もなかったかのようにふるまった。

思い当たる節はあった。どうせ嫌がらせだ、能力不足・実績不足を理由に降格したのだろう。何が降格だ。今後また能力を向上させ、実績をあげればいい。そう気持ちを切り替えて前に進む原動力にしてきた。でも今は、その時すぐに降格の理由を聞き、異議を申し立てるべきだったと思う。降格されたという事実がこれほど喉に突き刺さったトゲのように長く尾を引くとは思いもしなかった。

降格されたのは能力不足・実績不足が理由だろう、と自分で勝手に推測して5年以上やってきた。ところが先日、「決算を締められる人がいない、自分の名前が出ている、転勤できないか」と声がかかった。思いもよらないことだ。本来なら喜ぶべきことだろうが、素直に喜べない。降格しておいて、そっちの都合が悪くなったら呼び戻すなんて、人をバカにしている。5年以上経ってもなお、降格されたことにこだわっている自分に気づかされた。

降格されるほどの能力不足・実績不足なら、今になって自分の名前が挙がったり、声がかかる、なんてことはあり得ない。当時の能力や実績が認めているからこそ、5年以上経っても自分の名前があがるのだ。降格の理由は能力不足・実績不足ではない。理由は他にある。その時そう確信した。そうでなければ、つじつまが合わない。

2カ月ほど悶々とした日々を過ごし、思い切って、組合に相談してみたところ、降格理由の説明を受けることは従業員の当然の権利だから、時間が経っていようがいまいが人事に請求することができる、と教えてもらった。私は、思い切って人事に降格理由の開示を請求することにした。

当時、降格という事実に正面から向き合おうとせず、勝手に理由を推測して無理やり自分を納得させてきた自分は勇気がなかったし、馬鹿だったと思う。今回の降格理由の開示請求を機に、いろいろな人の協力を得て、恥を捨て、推測ではなく、事実に正面から向き合う。これでようやく自己成長に向けたスタートラインに立つことができると思う。

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