見切り発車でリワーク開始
9月に入ってすぐ会社の産業医面談を受けたが、10月中旬になっても会社の同意が得られていなかった。それでも毎日、決まった時間に家を出て、図書館に通い、暗くなる頃に家に帰ってくる「1人リワーク」を続けていた。
そんななか、リワークのカウンセラーから連絡があった。来週から「週3日、午前のみ」からリワークを始めませんか、という提案だった。時間がもったいないので、会社の同意が得られることを前提に、リワークを始めてしまおう、というわけだ。後から聞いたところ、この期間はリワーク体験の扱いになるとのことだった。
もちろん断る理由はないので即答した。まずは肩慣らし程度と思って始めることにした。午前だけということもあって、大きな負担も感じることなく、あっという間に時間が過ぎた。やはり、「1人リワーク」をやっておいてよかった、と思った。「〜でよければ副院長先生」のアドバイスのおかげだ。
リワークに通う日は午後はフリーだが、そのまま昼食も外で済ませ、午後も「1人リワーク」を続けた。以前は図書館で過ごすことが多かったが、リワークに午前だけ通うようになってからは、昼食後はコンビニのイートインスペースで2、3時間過ごすことが多くなった。
リワーク最初の週はあっという間に終わり、最後にカウンセラーとの面談に臨んだ。面談の終わりにカウンセラーからこう聞かれた。
「来週はどうしますか?」
あの時スタートラインに立った
私は、とっさに答えた。「ありがとうございました。来週も同じように通いたいです」。ところがカウンセラーは、「今週と同じではダメです。来週は今週よりも必ず増やして下さい」と言った。
あ、いいですよ、と軽い答えが帰ってくると思っていたので一瞬戸惑った。黙っていると、カウンセラーは「週3を週4にするか、午前だけを1日にするか、ですかね」と続けた。
私はハッとさせられた。復職するための心構えとはこういうものだ、と。昨日より今日は少し成長している、先週より今週は少し成長している、先月より今月は少し成長している。それを続けているうちに復職できる状態まで持っていくことができる。だから、カウンセラーは、来週も今週と同じはダメ、と言ったのだ。
来週は、週4回通うことに決めて施設を後にした。今から思うと、私はこの日、本当の意味で復職のスタートラインに立ったと思う。復職を成功させるには、無理する必要はないが、少しずつでも成長していることが重要だと気付かされた。そして同時に確信した。リワークに通う意味はきっとある、と。