プレリワーク期間の過ごし方
リワーク体験をした後、少し間があく。リワークの支援開始決定が遅れたのだ。
リワークプログラムを受けるなら、「朝決まった時間に出る、夕方まで外で過ごす、一日一万歩歩く」ができるようにしてください、と「〜でもよければ副院長先生」に言われていた。支援開始の決定を不安を抱えて待ちながらも、一方でやるべきことは決まっていた。
朝、決まった時間に家を出て、図書館まで歩く。朝、家を出るようになったのは再休職してから初めてだった。通常勤務していた時は、朝決まった時間に家を出るのは当たり前のことで、なんとも思わなかったが、「今まですごいこと毎日やってきたんだな、自分」と思った。半年のブランクがあるので最初は辛いが、すぐに慣れてくる。
晴れの日、雨の日、肌寒い日、温かい日。ちょうど、秋口の季節の変わり目だったので、毎日肌の感触が少しずつ違う。朝決まった時間に家を出るだけで、単調だった毎日が、緩やかではあるが刺激のある毎日に変わるから不思議だ。定年退職して毎日家でゴロゴロしていると急に老け込む、という話も頷ける。外に出ない生活をしていると刺激を受けなくなるからだ。
図書館近くのスターバックスに入って午前中過ごす。昼はコンビニでパンを買って公園のベンチで食べる。午後は図書館に戻って新聞や雑誌を読む。感謝の記録を書く。ネットを見る。夕方まで図書館にいて暗くなる前に歩いて帰宅する。「朝決まった時間に出る、夕方まで外で過ごす、一日一万歩歩く」毎日はだいたいこんな感じだ。とにかく、1日外で過ごすことが目的だから大したことができなくてもいい。1日外で過ごすことができれば、それでいい。
1日中集中して本が読めるなら、とっくの昔に復職できている
せっかく図書館で1日過ごすんだったら、復職後役に立つ本を、さぞかしたくさん読めてよかっただろう、と思われるかもしれないが、さにあらず。読書は、思いのほか能動的な行為で実は非常に集中力を要する、ということに気づかされた。反対に、受動的な行為の代表格はテレビだ。再休職してからずっと家で過ごしていた時は、寝ているか、ネットを見ているか、テレビを見ているか、のいずれかだった。テレビは勝手に視聴覚に入ってくるので、脳を働かせる必要がない。一方、読書は意識して脳を働かせないと、活字が意味のある情報として勝手に入ってくることはない。読書は、一見静的な活動に見えるが、実は動的な活動なのだということを体感した。
当時は、本を開いても数ページ進むだけで内容が頭に入って来なくなる。自分の病気のことや薬のことについて調べようと思っても全然興味が続かない。仕方なく、まだ興味が湧きやすい新聞や雑誌を読んでいた。図書館の書棚にあるようなまともな本が集中して読めるんだったら、とっくの昔に復職できている。