初めて精神科専門病院を受診する
どこへでも行ってください、と言われ、「~でもよければ副院長先生」から勘当を言い渡された私は、紹介状を書いてもらい、他に転院するしかなかった。「~でもよければ副院長先生」から、自宅から近い、双極性障害の治療で名高い精神科の病院(紹介されたのは、クリニックではない精神科専門病院)を2つ紹介された。あわせて、教育入院を勧められた。
教育入院とは、自分はそれまで経験はなかったが、わりとよくあるのは糖尿病の患者さんが、約2週間ぐらい、正しい生活、特に正しい食生活を強制的に身に着けるために、あえて入院して専用の生活習慣改善プログラムをこなす、というものだ。要は、その精神科版をやったほうがいい、ということだった。その時の私の生活はといえば、昼まで寝ている(起きられない)、昼に起きて何か食べる、ずっと家にいる、暗くなったらコンビニへ行く、寝る、深夜に目が覚める、そのまま朝まで寝たり起きたり(起きているほうが長い)という感じだったので、教育入院すれば、元の生活に戻るかもしれないと、密かな希望を抱いていた。
調べてみると、どちらの病院も、郊外にあり、実質的に車でないと通うのは難しい、という印象だった。A病院のほうが、特に双極性障害の治療では名が知れているということだったが、B病院でもいい、とのことだった。B病院のほうが、A病院に比べて、距離的に近かったため、B病院を受診することにした。その教育入院とやらを早く受けたほうが、今よりも楽になるのでは、と思いすぐにB病院を受診することにした。後から聞いて知ったことだが、このB病院、今は病院名こそ変わっているが、その前身の病院は昔から「〇〇(立地している場所の地名)の脳病院」として地元では広く知られていたそうだ。入院設備も備えた県内でも随一の精神科専門病院だった。
なにしろ、何も予定などないのだ、行こうと思えば明日にでも行ける。調べてみると、幸い、予約もいらないという。「~でもよければ副院長先生」から勘当された数日後には、もうB病院の門を叩いていた。さすがは、やる気は起きないが焦りはひどい、絶え間なく襲ってくる強い不安と強烈な焦りが同居する、混合状態だ。
起きないなら、無理には起こしませんよ
外来は午前しかないので、それに合わせてB病院に向かった。病棟を建て替えたばかりで、前庭などはまだ養生中だった。旧病棟もまだ機能しているようだったが、外来は新病棟で行われていた。広くてきれいな病院だった。大病院だけあって1時間以上待って、診察を受けた。診察も初診ということで30分から1時間くらいじっくりと話を聞いてもらえた。大病院なのに、とても丁寧な対応で驚いた。
それとは別に入院病棟の見学もしていってください、といっていただき、診察とは別に、病院の職員の方や病棟の看護師の方が30分くらいかけて案内していただいた。教育入院についても、もちろん質問した。案内では7時起床となっていますが、起きられない場合、起こしていただけるのでしょうか?答えは、無理には起こしませんよ。寝ているならそのままにしておきます。とのことだった。
えっ?
天国はどこにあるか見当もつかないが、地獄は結構身近にある。