主治医にキレられる

再休職すると次の復帰のハードルは確実に上がる

別に、気楽に再休職したわけではなかったが、立場的に微妙になってきたと思うようになったのは、再休職のための診断書をもらいにクリニックに行った時だ。

「~でよければ副院長先生」は、再休職の診断書を書きます、といって、真剣な表情になってこう続けた。

「こうやって、主治医だまして、診断書書かせて無理やり復帰して、また休職して、それを繰り返しているうちに本当に会社に行けなくなくなる人が多いんです。」

私は、分かったような分からないような返事をして、早々に診察室を後にした。とにかくこれで休める、ということしか頭になかった。後から考えれば、その当時の自分は、主治医はいつでも診断書を書いてくれる都合のいい存在、としか見ていなかったのかもしれない。

もう治療はこれで終了です

やむを得ず、再休職を選択してしまった私には、当然出口戦略などあろうはずもなかった。休めてよかった、と安堵するのもつかの間、今度は猛烈な不安と後悔に襲われた。特に不安のほうがひどかった。自分は破滅に向かっている、という実感があったことをいまでも覚えている。

しかし、再休職してから2ヶ月くらいの記憶は断片的である。何をしていたのか、どうやって過ごしていたのか、記憶がない。一部の強烈な出来事を除いては。

再休職して次の1ヶ月の診断書をもらいに行った時だった。不安と焦りで言動がおかしくなっていた。

精神科のクリニックで不安を訴えるとどうなるか。答えは、いままでみなかったような新しい薬が追加で処方される、である。

精神科医はカウンセラーではないので、目の前の患者が不安を訴えているのなら、「心配ありませんよ。話を聴きましょう。」というのではなく、迷わず抗不安薬を投与する。それが職業的義務だからだと思う。

更に不安を訴えると、更に新しい薬が追加で処方される。その繰り返しだ。

そして、その日、「~でよければ副院長先生」は私にこう尋ねた。「薬、指示されたとおりきちんと飲んでますか。」私は思わず正直に答えた。「これは飲んでいますが、これは飲んでいません。」と。

「~でよければ副院長先生」はそれを聞いてキレた。「薬を自分で調整するなど、10年早い。長年治療を受けて安定している患者さんでも難しい。」

そして、決定的な言葉が出た。

「私は本当に真剣に治療しています。この時間を他にも待っている普通の患者さんに回したいですよ。もうこれで治療は終了です。どこへでも行ってください。」

あまりの剣幕に圧倒され、何も言えなくなってしまった。

 

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