認知症になった親の預金凍結を防ぐ方法

あなたには高齢の親がいるとしよう。

あなたは言う。大丈夫、大丈夫。親は自分のための老後の資金は貯めているからお前に迷惑はかけないと言っているし、通帳やキャッシュカードの場所も知っている。

 

ところが、親が突然「社会的な死」を迎えるとその目算は崩れる。

 

社会的な死、とは何か

この記事で分かること

  • 預金凍結とは何か
  • 預金凍結を防ぐ事前にできる準備

この記事が役に立つ人

  • 親は自分のための老後資金は貯めているから心配はない、と言っているがそのお金が金融機関で本当に引き出せるのか不安がある人
  • 自分の親が現在認知症の可能性を医師に指摘されている人
  • 親が認知症になっても家族以外が成年後見人として選任されて家庭に入って来てほしくない人

結論

    • 預金凍結を防ぐための事前にできる効果的な対策として家族信託がある。
    • 法的に有効な家族信託契約に基づく信託口座は親が認知症になっても預金凍結されず、受託者=子が委託者兼受益者=親のための費用をいつでも引き出せる。
    • 公正証書で家族信託契約を作成して信託口座を作成し、介護サービス付有料老人ホームの入所一時金+毎月の入居費、その他必要と思われる金額を見積もり、信託口座に移しておく。

 

突然襲ってくる社会的な死、とは何か

その答えは、認知症である。

社会的な死は医学的な死よりも10年ぐらい先にくるそうだが、多くの人は後者にだけ着目して、前者には無頓着だ。

社会的な死、と金融機関に認定されると預金が凍結されてしまう。預金凍結とは、自分のお金が自分のために使えないということを意味する。

通帳やキャッシュカードの場所も知っているから大丈夫だって?

一度に大金を引き出そうとしたらATMロック、窓口で事情を話したら預金凍結です。はい、オワター。

そんな間抜けなことするものかと、毎日少額を引き出し続ける。残念ながらアルゴリズムが優秀で不自然な引き出しでもロック、正直に話したら預金凍結。

えー、そんな理不尽なというなかれ。金融機関も昨今の特殊詐欺などに巻き込まれまいと必死。

親が認知症が疑われる齢になったら預金凍結対策

親に不自由なく老後を過ごしてもらえるように大事なのまずはお金。

用意してあるお金が使えないという事態になれば頭真っ白。当座のお金は立替払いできたとしても、介護が長期に渡れば重い負担になってくる。

そうでなくても、高齢の親を抱える子供世代は子育て真っ最中というのも特徴。お金に余裕などあるわけもない。

立替払いできたとしても、親が亡くなって相続の段階で、立替払いしたお金が回収できるとも限らない。他の相続人から「本当に立替払いしたのか?相続財産から勝手に持っていくな」と異論が出てくるかもしれず、踏んだり蹴ったりだ。

そんな時は家族信託

家族信託では契約で指定した分を親名義の口座から信託口座に移して別管理する。いつどこへ払ったか通帳記帳されて客観性も保証されて不正ができない。

口座は移っても財産の所有権は親のまま移らないので、親のためにしか使えないのだ。

この家族信託、当然親が完全に認知症になってからでは遅い。認知症の懸念について医師から意見が出てからまだ頭がハッキリしている間でしかできないので時間はあまりない。

そこで、我が家では専門家のサポートをお願いすることにした。

サポートは主に契約書作成、公正証書作成、信託口座開設サポートと事前相談だが、結構な金額の手数料だ。でも、預金凍結防止対策の時間をお金で買うのだ。

近々、公証役場で契約と契約執行を行う予定だ。当日の様子はまた別の記事で報告することにする。

 

まとめ

親が亡くなって金融機関がその情報を入手すると預金凍結されるのはだんだんと知られてきたが、認知症の兆候があると金融機関が判断しても預金凍結されるのはあまり知られていない。

社会的な死ともいえる認知症とどう向き合うか。金銭面での一つの効果的な解決策が家族信託である。

家族信託、という言葉を初めて知った、もっと知っておきたい、という人は下記の書籍がおすすめだ。

家族信託を1年前に知って、いろいろ情報収集した中で、この本が最もシンプルで分かりやすく家族信託について書かれていた。

本書は家族信託についてだけの内容ではなく、相続全般、最新の法改正についても丁寧に解説されている。

興味があればご一読されてはいかがでしょうか?


 

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