朝決まった時間に起きる、三食食べる、1日1万歩、歩く

私の「社会生活リズム療法」体験記

「〜でもよければ副院長先生」からは、まずは、朝決まった時間に起きること、必ず三食食べること、散歩など何でもいいので運動をすること、これを毎日続けるように指導された。いわゆる「社会生活リズム療法」の実践だ。

再休職してから、朝はずっと寝床で寝ていて、ようやく昼近くになって体を起こすという生活リズムだった。まずは、毎日朝になったら体を起こす、居間へ行く、そこでまた横になる、ということから始めた。居間の掃き出し窓を開けて、そっちの方向へ足を向けて横になるのである。季節は新緑の頃から初夏へ向かう頃で、居間に吹き込んでくる緩やかな風がなんとも気持ち良かったことが今でも思い出される。落ち着いたら起き上がって、バナナとかパンとかを食べる。

何もしなくても時間は過ぎる。すぐに昼になる。「〜でもよければ副院長先生」には必ず三食食べるように言われているので、家にあるもの何でもいいのでまたちょっと食べる。そのうち飽きてくるので、近くのスーパーで弁当や惣菜を買って食べたりとか、外食することもあった。

もうこの時期、昼間は暑いので散歩なんかしてられない。昼御飯を済ませたら、必ずテレビをつけて、フジテレビのバイキング、からのグッディ、その後は地方民放局制作の夕方のニュース番組、というのがお決まりのコースだった。テレビを見続けるのは、情報収集のためではない。不安を紛らわせるためだ。そういう観点からは、ネットサーフィンなどネット系はダメだ。知らないうちに自分から不安感を増幅する行動につっこんでいく。それに検索すると大抵ネガティブな記事ばっかり出てくる。まあ、無意識にネガティブなワードを、検索窓に打ち込んでいるから、というのもあるが。

あと昼間散歩しないのはそれだけが理由ではない。近所の人に見られるのが嫌なのだ。実際は誰も見ていないのかもしれないのだが、近所の人の目が気になるのが、休職中あるあるだ。だんだん日が暮れて、暗くなり外気温が下がってくると、不思議なことに少し心が落ち着いてくる。完全に暗くなってから散歩するのも危ないので、4時から5時くらいの間に家を出て、歩いて40分くらいのところにある図書館へ向かう。万歩計をポケットに入れて歩くとだいたい片道4500歩くらいになる。往復9000歩、あとは普通に家の中を移動したり、他に外出したりでトータル1万歩は確保できる。ようやくミッション達成だ。

皮肉にも休職中に投資の知識と経験値が飛躍的に伸びる

図書館に行っても読むのはだいたい新聞や雑誌の閲覧コーナーで、本を手に取るのことは稀だった。手に取るとしても、だいたい自分の病気に関する本だが、集中力が続かず、読んでいても楽しくない。すぐに読むのをやめてしまう。新聞や雑誌で読むところは、だいたい、株価や投資に関するものが多かった。休職して株やってるなんて、不謹慎と言われそうだが、「〜でもよければ副院長先生」に相談してみると、「頭を使うことになっていいですからどんどんやってください」、と言われた。

一般的に、性的に奔放になったり、散財したり、借金したりして後になって取り返しのつかないことになることが多い、といわれる双極性障害の患者に、どんどん株やってくださいという先生も先生だが、逆にそういってもらって助かった。先生がいっているのだから堂々とやればいいのだ。

おかしな話だが、休職中に証券投資の知識や経験は一段と深まった。日本株以外の個別株投資や外国ETFの定期積立を始めたのも休職中だったし、優待投資のためのクロス取引、信用取引を始めたのもこの頃だ。時間がたっぷりあったから、資産運用についてじっくり調べられたし、働きながらではできそうにない投資手法も失敗覚悟で試すことができた。

一時期、空売りで儲けようと思って、北海道地震が起こったら北海道電力を空売りしてみたり、買収後のごたごたが長引きそうだとみれば、富士フィルムや武田薬品工業を空売りしてみたりした。購入以来ひどい目にあわされているソニー株に一矢報いてやろうと空売りしてみたり、いろいろやってみたが、やっていることは結局のところ、丁半博打と変わらない、と気付いてやめた。なにしろ信用売りのポジションを持っていると、四六時中、株式市場の動向が気になって仕方ない。なにしろ、一歩間違えれば、株価が暴騰した場合、無限の損失を被る可能性があるのだ。仕事中だったら仕事など上の空で、業務に支障をきたす可能性は大だ。

でもやっぱり、何事も実際に自分でやってみることがとても重要で、やってみたことがあるからやらない、という決断ができるのは、実際にやってみたことがあるからだ。休職中に図らずも身についた、投資の知識と飛躍的に向上した経験値が、今、個人投資家としての自分に、プラスに働いていることは間違いない。

 

朝決まった時間に出る、夕方まで外で過ごす、1日1万歩、歩く

 

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